検査レストア依頼 Marantz8 Y.K 様 概要
★ レストア後の試聴です。
各バイアスも余裕を持ってしっかり取れています。
音は軽快です。
いつもTelefunken EL34ですが、本機はマッキンのKT88で名の知られたAGCのEL34です。
初めて音を聴きます。
低域から高域まで軽快なサウンドです。Telefunkenのように重くなく中高域も上品な音です。
各パーツは殆ど新品で入口側はバンブルビーが生きています。
極めてクリアーなサウンドです。
2019. 9. 8 掲載 検査一部完了
2019. 9. 17 検査完了
2019. 9. 19 レストア完了
2019. 9. 27 再レストア完了
★ 再レストア完了 2019.
9. 27
漸くボリュームも入荷し交換しました。
今回幸運にも純正クラロスタットの新品が手に入りました。
( 2019. 9. 20 )
★レストアも完了し発送前の最後の試聴で3時間程エージングを行っていました。
すると突然左のスピーカーからパツパツと音が出て本機の裏側やトランスカバー内部から白い煙が立ちあがりました。
内部を見ると電源のカーボン抵抗が黒くなっている他は特に目立った異常はありません。
しかし、鼻を近づけて匂いを嗅ぎまわるとACバランス用ボリュームが異常に臭く、触るとかなり熱いことが解ります。
明らかに右のACバランスボリュームと温度が違います。
全ての電源回路の電解ブロックコンデンサーを正規仕様の新品に交換しました。カップリングコンデンサーも入口バンブルビー以外は全てGoodAll-TRWの新品に交換しました。
初段管カソードバイパスコンも純正SPRAGUEの新品に交換しました。左チャンネルのACバランスが取れなかったのでA1側の抵抗を交換しました。
★電源ケーブを交換して各部の電圧を計ります。 2019. 9. 17
オリジナルの電源ケーブルですがご覧のように付け根が切れそうです。
以前このような状態からショートして火花が散り、燃えました。
芯線はボロボロで麻ひもが通り布メッシュで覆ってあります。スパークすると一瞬で炎が上がります。極めて危険です。
★ 全ての特性を確認しただ今試聴を行っています。
やはり以前の様に伸び伸びとした良い音を奏でてくれます。
交換した元のボリュームです。右が今回煙が上がったもので黒く焦げています。
ACバランスボリュームを左右とも交換した後の内部です。
交換部品にボリューム2個が仲間入りです。
← 交換後のACバランスチェックです。
左右ともそれぞれバランスが取れています。
過電流が流れて黒く焼けたカーボン抵抗。
軸を触ると異常に高温になったACバランス用ボリューム。
左右を比べてみるとこちらのプレートが黒く変色しています。
★ レストア完了です。 2019. 9. 19
交換部品です。電源廻りと各カップリングコンデンサーです。
バイアス電圧です。 -46.1Vとこちらも良い値です。
高圧B電源です。良い状態です。
高圧側の電解ブロックコンデンサーは全て正規仕様の新品に交換しました。
低圧の電解ブロックコンデンサーも新品交換です。
バイアスセレンは今回ダイオードに交換しました。
★各電圧のチェックです。
右チャンネルのACバランスです。良い値です。
左チャンネルのACバランスです。最初は取れなかったのですがB1の抵抗を交換して画像の通り良い値です。
バイアスセレン後の電圧です。10.12Vしか出ていません。
★電源を入れて各部の電圧を計ります。
電源ケーブルをベルデンの新品と交換です。
★漸く最初の試聴ができます。
音は今のところ特に問題は無さそうです。普通に聴けます。
心配していた電源電圧も異常に低下していないので電源トランスも大丈夫かも知れません。
しかし、これがメンテをしないでまだ普通に聴けていましたが、かなり危険な状態でした。
左の初段管カップリング後です。こちらも85.1Vでかなり漏れています。
右の初段管カップリング後の電圧です。71.6Vで結構漏れています。
各出力管のバイアス調整です。
こちらで4本ともかなり絞って何とかレベルを合わせることができます。
右の画像はA2ですが調整ボリュームをいっぱいに絞ってもまだ高めに針が指しています。つまり調整不能状態です。
他の3本もボリュームを絞り切った状態で針は何とか規定の目盛りです。
恐らくこれまで自宅で聴いていた状態では4本とも針は振り切れていたと推測します。
この針が振り切れる状態では出力管のプレート電圧が異常に高く出力トランスにも規定以上の高圧が掛かっていました。
出力管バイアス電圧です。-34.58Vとかなり低い値です。
高圧倍電圧合成部です。437Vと低い値です。やはりφ25の電解ブロックコンデンサーの影響です。
高圧の出力管プレート電圧です。426Vを表示しこちらも低い値です。
初段管供給電圧です。379.5Vでこちらも15V程低い値です。
バイアスのブロックコンデンサーです。こちらも経年で被覆が塩を吹いています。
中の電解液が染み出しています。
高圧電源の倍電圧の片側ブロックコンデンサーです。ご覧のように電解液が漏れ出て垂れています。
近いうちに破裂します。
ケージも程よく年代を感じ、とても良いものです。
内部です。こちらも殆どオリジナルのままです。
リヤもとても良い状態です。
★今のところ電源ケーブルが危ないのでまだ電源を入れて各部の検査はできません。
取り敢えずこれまで何とか聴いていられたのだろうと思うので、まだ音に特別影響が出ているわけでは無さそうです。
しかし、これまでの経験上Marantzのパワーアンプは音に異常が出てくると、ほぼ最悪の状態になっています。
大概、暫くして音が出なくなり、出力トランスの終了です。
本機も上記の通りかなり悪い状態です。特に電解コンデンサーの液漏れは後に破裂し惨事になります。
今回は倍電圧の片側が飛ぶため破裂と同時に最悪は電源トランスの2次側が焼損します。
これ等は大音量のノイズと共に一瞬で起こり、暫くして漸くヒューズが飛び、終了です。
バイアスセレンの順方向です。4.43kΩです。
こちらはバイアスセレンの逆方向です。何と順方向と殆ど同じ4.46kΩです。全く整流していません。
高圧電源の整流ダイオードです。逆方向で無限大(OL)表示です。
このビンテージダイオードはまだまだ大丈夫です。
液漏れの高圧倍電圧片側の電解ブロックコンデンサーです。
予想通り抜けて全く静電容量がありません。
( Open circuit or low capacitance )
こちらは出力管のカップリングコンデンサーです。(焦げ茶4個)
以前レストアされた方はカップリングではこれだけを交換されています。
ここは抜けたら出力管が赤焼し出力トランスが飛ぶのでとても危険です。
前の方は良く解っておられたようです。
★電源投入前の各部のチェックです。
← 元のボリュームをチェックしました。
右が煙の上がったボリュームです。
規定では5kΩのところ、左は5.25kΩを表示し右は4.80kΩを表示します。
やはり煙の上がった右のボリュームは一部短絡状態だったようです。
初段管カソードバイパスコン左です。リークしてESRは最大値を表示しています。不良です。
同じく右です。こちらもリークしESR最大値で不良です。
塩吹きのバイアス用電解ブロックコンデンサーです。こちらもLeaky表示でリークしています。
もう1本の高圧倍電圧電解ブロックコンデンサーです。Leaky表示でリークしています。