電源回路の全ての電解ブロックコンデンサーを交換しバイアスセレンも交換しました。またバイアス回路の抵抗も交換しています。
カップリングコンデンサーも入口側バンブルビーを除き全てMarantz純正のGoodAll-TRWの新品に交換しました。

★ 電源を入れずに一通りチェックしてみましたが、ご覧の通りかなり危険な状態です。

これでは当然出力管の赤焼は起こるでしょう。

2019. 9. 19 掲載 検査完了
2019.10. 3 レストア完了

★これから各カップリングコンデンサーの検査です。

★漸く試聴に漕ぎ付けました。

各バイアスも正常です。

良い音が鳴っています。これはやはりテスラ管の音ですね。
全体にすっきりしています。
このTESLAは黄色ロゴなので最も高品質であった1971年製ROZNOVプラントあたりの製造品でとても貴重です。

いつものRFT-Telefunkenの押しの強い音とは違い上品な味わいです。

何とか貴重な球が助かり良かったです。









危ないので出力管は松下の6CA7に換えて検査です。

高圧電源は429Vと正常値です。

バイアス電圧も正常値で -46.4Vを示します。

ACバランスです。

Marantz8Bは電圧を見ながらバイアス調整を行います。この為このように本体を立てて調整します。サーカスです。

電解ブロックコンデンサーは全て正規仕様の新品に交換しました。

バイアスセレンとφ22電解ブロックコンデンサーです。

左右のバンブルビーも全く抵抗値が無く完全に不良です。上は8.4Ω、右も8.4Ω。

A1側もかなり低い値です。5.90MΩ表示です。
B1,B2側も50MΩあたりでこれ等も不良です。

同じくダイオードの順方向の抵抗値です。これも不良セレンの抵抗値で4.37kΩです。

φ35もESRが高く静電容量も足りません。

中のφ25カバー付はご覧のようにLeaky表示でリークしています。

交換されている電解ブロックコンデンサーのうち1本が真ん中から電解液浸透物が押し出されています。これはかなり危ない状態です。

バイアスセレンにダイオードがパラに接続されています。

内部です。電源回路の消耗品は全て交換されています。カップリングコンデンサーは全て純正そのままです。

Marantz8Bオリジナル初期型です。大変きれいな逸品です。
突然出力管が真っ赤になったので修理を依頼されました。


★ 漸くレストア完了です。                                                 2019.10. 3

本機も数々のドラマがありました。

下の画像のように一通り部品交換後電源を入れ各部の電圧チェックを始めたところ、次第に高圧の電圧が落ちて行きます。
バイアスも全く電圧が上がらず、その内ヒューズが飛びます。

交換したセレンをチェックすると両方向とも導通があり交換した新品のセレンが飛んだようです。
急いで電源トランスと左右の出力トランスの抵抗値を計り、特に異常無なそうなのでヒューズを交換し、今度は危ないのでセレンの代わりにダイオードをバイアスの整流用に装着し、真空管も折角のビンテージ・テスラを飛ばすといけないので、手持ちの松下管を装着しました。

今度も一通り電圧チェック後、表のバイアス調整のセレクトスイッチを回すと出力管3本のメーターが振り切れます。完全にバイアス異常です。

最終的にはバイアス回路の抵抗を交換し漸く正常な状態になり、新しいセレンと出力管を戻しました。

初段管のカップリングもかなり劣化しています。
この画像ではデカップリングですが不良です。




このカップリングが異常に低い値です。299.4kΩ表示。
恐らくこのA2が赤焼したと考えます。

← この不良セレンにパラに取り付けられたダイオードは全く機能していません。
セレンにダイオードを並列接続しても全く無意味です。

今回の出力管の赤焼は、根本はこのバイアスセレンの不良に依って極端にバイアスが浅くなり、この為出力管全体のプレート電圧が高くなり、どれかが特にカップリングコンデンサーの不良から発生したと考えられます。

バイアスセレンにダイオードがパラに接続されているものはいずれこうなります。

バイアスセレンにパラに取り付けられたダイオードの逆方向の抵抗値です。4.38kΩと表示されこれは不良のセレンの値です。

前回のレストアで交換されたバイアス用の電解コンデンサーも1本リークしています。

★バイアスセレンのチェック

★危険なので電源は入れず、各回路の状態をチェックします。
まずは電解ブロックコンデンサーからです。

セブン再生工房

修理レストア依頼 Marantz8B A.R 様 概要