セブン再生工房

修理レストア依頼 Marantz8B T.E 様 概要

2019. 8. 8 掲載 検査完了
2019. 8.24 レストア完了
2019. 8.25 再調整

最終調整後の内部です。

結局 Telefunken は高価でこちらでもまだ使う予定なので他の出力管をおまけで付けることにしました。
いくらおまけでも余りひどいものは失礼なので色々音を聴いて結局Electro-Harmonixの比較的新しい物にしました。上の画像です。

★最終調整です。                                                                           2019. 8. 25


初段管プレート電源の電圧です。少し高めですが充分です。

★電源が良くなったので漸く各部の電圧チェックです。

電源回路の全ての電解ブロックコンデンサーを正規仕様の新品に交換しました。
バイアスセレンも新品に交換しました。
各出力管のカップリングコンデンサーも純正GoodAll-TRWの新品に交換しました。
出力管バイアスの容量の違うコンデンサーに換えられていたのを正規の値の新品に交換しました。

本体表の電解ブロックコンデンサーです。正規仕様の新品です。

★最終的には入力側コンデンサーをSPRAGUEの160Pの良品に交換しました。

前のASCも良かったのですが、低域が少し弱く今度のElectric-Harmonixの出力管では物足りなさを感じています。

160Pは皆さんご存知のブラックビューティーです。無難な音です。

これなら低音も膨らみもせず物足りなさも無くしっかりとした音で、中高音も奇麗です。
後で出力管をTelefunkenに換えられても問題無く良い音を楽しめます。































(2019.8.25)
★本日もエージングを行うつもりで電源を入れて暫くするとパツンと言う音が出ました。
すぐにバイアスチェックをすると3本の出力管のバイアスメーターの針が振り切れています。
また、少ししか上がらないものも1本あります。

これはこのGEの真空管も不良です。

昨日最初の音出しでは、いつものように高圧の電源電圧とバイアスの電源電圧を計ってすぐに出力管のバイアス調整を行うので気が付かなかったのですが、本日は昨日の調整完了後の状態で電源を入れています。
本来はこの状態で暫くすると調整完了の状態になる筈です。

そこで予備で保有しているNOS新品の出力管 Telefunken EL34 に交換して試聴します。これが上の画像です。

当然バイアス調整後電源を切って暫くして再度電源を入れても調整後の状態です。

これでいつものMarantz8Bのとても良い音です。



恐らくこれまで電源電圧が異常に低くバイアスも浅かったので、この真空管でも何とか最初の電源投入時でも電圧が余り上がらなかったので何とかなったのでしょう。
レストア後は全て正規の電圧です。電源投入時は高圧は500V近くまで上がります。

このままこのGEの出力管を使い続けると貴重な出力トランスに悪影響が出ます。







バイアスセレンと低圧の電解ブロックコンデンサーは正規仕様の新品です。

交換部品です。

★やはりかなり元気の良い音に変わりました。

暫くエージングを続けています。

だんだんいつも聴くMarantz8Bの音になってきます。

しっかりとした重低音、抜けるような輝きを放つ中高音。
良い音です。


今回の出力管はGEのEL34です。初めて聴く音です。

いつものTelefunken RTFのEL34と比べると低音が少し弱く感じます。
中高音は似たような感じでしょうか。

この球もなかなか良い音です。



入口側初段が白いASCでその隣に赤いGoodAll-TRWを配置します。

ACバランス、DCバランス調整後早速試聴です。
本機はこれが初めての音出しですが、どうも元気が無くぼんやりした音です。
低音も膨らみボンボンとした締まりの無い音で、中高音も輝きが無く#8Bとは思えない音のようです。

最初の観察で気になっていた入力側のコンデンサーを換えてみます。

本来はバンブルビーが理想ですが予算の関係で似たような音の中から今回はこの位置に収まりやすいASCに換えてみます。
華やかになる音を2段目にGoodAll-TRWの0.022uFで絞めて中域の厚みを出します。

変更した内部が下の画像です。

位相反転管のプレート供給電圧です。432Vを示し完璧です。

高圧のプレート電圧です。434Vを示し正規の電圧です。

倍電圧側の絶縁チューブ巻き電解ブロックコンデンサーも新品です。

★以上の結果電源回路の電解ブロックコンデンサーは全て不良です。
このため時間が経って温度が上がってくるとコンデンサーの容量が抜け切って最低電圧の限界を下回り異音が発生してくるようです。

バイアス電圧は逆に浅くなり、高圧電圧の低下に対してフォローするように働いていたので何とか普通に音が出ていたようです。
このバランスが崩れると一気に大音量のノイズが発生し出力トランスが飛びます。

プツプツの異音はこの前兆でした。



★このアンプは危ないので電源投入後の検査は電源回路を直してからになります。



経験上パワーアンプで異音が出始めるとかなり状態は悪く、最悪は電源回路が直り正規の高電圧に戻ると暫くして電源トランスが焼ききれることが何度かありました。

電圧低下の状態で長く使用し続けると徐々に電源トランスの絶縁が低下し、レストア後の高電圧に戻ると巻き線の線間でショートします。

本機も電源トランスが無事であれば良いのですが。。。

一番大きい電解ブロックコンデンサーです。Leaky表示でリークしています。

高圧倍電圧回路の下側です。こちらもLeaky表示でリークしています。

こちらは Marantz #8B の初期型です。まだ#8の名残でネームプレートは#8と同じ場所に貼られています。貴重な個体です。
時間が経つとプツプツとノイズが出るので修理を依頼されました。

出力管バイアス電源です。 -46.4Vは見事な値です。


★漸くレストア完了です。                                                                           2019. 8.24

高圧倍電圧回路の上側です。全く抜け切って機能していません。
これなら電圧は急激に落ちます。

高圧電源回路が改造されています。電圧低下になったのでしょう。高圧B3が限界の電圧以下になったのか、別の抵抗をくぐらせ無理やり電圧を上げています。

★各ブロックコンデンサーのチェックです。

どういう訳かこのこげ茶色のコンデンサーはオリジナルのままです。ここは抜けると真空管が真赤に赤焼し、出力トランスが飛びます。
ある日突然の惨事です。
当工房では安全を見て状態の良否に関わらず真先にこのコンデンサーを新品交換します。

ブロックコンデンサーが無かったのか青い代品のコンデンサーを使用されました。
これは良いのですが、こちらも青いセレンにダイオードを並列に接続されています。
どうして皆さんこんな無意味なことをするのでしょうか?
このセレンの代品はまず皆無なので仕方が無いのでしょうが、それなら独立してダイオードで整流すればよいのです。

これは何だか変です。上下逆さまのような気がします。静電容量と耐圧がまちまちです。
こういうのはとても気になります。

この赤いコンデンサーの容量が違います。ここは0.22uFですが上の赤いコンデンサーは0.15uFを使用されています。

まずは内部の観察です。これまでの歴代のレストアにより色々改造の跡が見えます。


下記に気になるところをアップしてみます。