★電源回路の各配線をチェックしているとバイアス調整用セレクタースイッチのターミナルがぶら下がって欠落しているのを発見しました。

この為、このロータリースイッチを修理できないかと思い外そうとすると、下の右の画像のように軸のねじ山が崩れています。
恐らく前のレストアされた方が、ねじが締め切らないのでワッシャーをかしめて固定されたようです。
この為このロータリースイッチを外すことができず困りました。軽くハンマーで叩いても簡単に外れません。どうしても外す場合は壊すしかありません。

セブン再生工房

2019. 1. 30 掲載
2019. 2. 16 レストア進捗状況
2019. 2. 24 レストア完了

本機の最終の外観です。
出力管はこちらで予備に持っていたTelefunken EL34に交換しました。

★これでバイアス調整ができるようになったので電源回路を修理しました。

★交換後の各部の電圧です。

基板をひっくり返した状態です。赤矢印赤丸円の部分に左右と同じようなターミナルが付いていましたが欠落しています。

右下の黒いツマミのスイッチです。

★このロータリースイッチは極めて特殊で、当然部品は有りません。Marantzの真空管式パワーアンプは全てこのようなロータリースイッチでバイアス調整で真空管の切替を行います。
どれも専用の部品です。しかもユーザーが触るので経年で消耗します。万一壊れたらそのアンプは致命傷となり存続不可能になります。

最終的にはイチかバチか中でばらしてみることにしました。

軸のねじ山が崩れてナットが締まらない状態です。

内部です。以前他でレストア済みです。
電源回路がかなり改造してあります。高圧は全ての電解ブロックコンデンサーに追加の電解コンデンサーが取り付けられています。

よく見ると出力管の各カップリングコンデンサーは耐圧の少ないものに交換されています。ここは必ず600V耐圧で無ければなりません。
高圧は電源投入時500V近くまで上がりますが、このコンデンサーは400V耐圧です。
恐らくこれが劣化してバイアスが上がらない原因にもなります。

レストアの完了です。電源回路修理の後、各カップリングコンデンサーの古い物を新品に交換しました。
オーナー様の希望で入力側のカップリング0.1uF/400Vをバンブルビーに交換しました。

★音はこちらでいつも聴いているMarantz8Bオリジナルと全く同じ、ダイナミックで図太い低音、煌びやかな中高音が調和したとても良い音です。

これで当分は良い音を安心して堪能できると思います。








中央の黄色の線の入った黒いコンデンサーがバンブルビーです。

★レストア完了です。                                                                           2019.2.24


追加されていた余分なコンデンサーを撤去し正規仕様の電解ブロックコンデンサーを装着しました。
一部高圧のダイオードが劣化していたため4本とも新品に交換しました。
低圧用ブロックコンデンサーも正規仕様に交換しました。
カップリングコンデンサー類はまだ交換していない状態です。

仮の真空管を付けてバイアス調整を行いました。
球選択のロータリースイッチは以前より軽く回ります。
それそれのポジションでしっかりメーターが振れます。

表面に出ている電解ブロックコンデンサーは#8Bオリジナル用です。
この為外観はMarantz8Bオリジナルと同じです。

高圧B1です。436Vを示し良好です。




低圧のバイアス電圧です。-49.5Vを示し良好です。

高圧B2です。385Vを示し良好です。

外せない状態のスイッチ本体です。

かなり苦労して基板を外すことができました。

バラす前の状態です。

バイアスのブロックコンデンサーを検査すると右画像のように一部でLeaky表示でリークしていました。
これがバイアス電圧の低下を招いています。


★レストアの進捗状況です。                                                               2019.2.16

★暫く聴いていると、無音時に左右からジーと言うノイズが出ています。

これは上記の電解ブロックコンデンサーに追加で電解コンデンサーを取り付けて電圧を上げようとされましたが、元のブロックコンデンサーの劣化が進み絶縁不良を起こしている状態です。

リプルが絶縁不良のブロックコンデンサーからアースに回り込み信号回路にノイズとして乗って来ています。

この様に電源回路がダメになるとレストア屋さんは常套手段として電解コンデンサーを追加されますが、その時は何とか大丈夫でも短時間でまた不良になり根本的には何も直っていないと言えます。





Marantz8Bkです。
各出力管のバイアスが上がらないので見て欲しいとのご依頼です。

早速音出しです。やはりバイアス調整ができず、規定値まで上がらないものがあります。
音は出ますが少しノイズが出ています。

何とかまた元に戻して修理完了です。
本体の隅の一番狭い所にあるので工具も入らない状態です。
気合と神技を使いました。

上の画像の赤丸円に無かったターミナルを取り付けた状態です。
二度と取れないようにしっかりかしめ、リード線で巻いてハンダ付けしました。

電源回路は全てのブロックコンデンサーに追加されています。
追加のコンデンサーは大きいので揺れます。
危険な状態です。

修理レストア依頼 Marantz8Bk N.K 様 概要