当工房所有機 Marantz9オリジナル  概要    セブン再生工房

エージング風景です。ノイズも無くクリヤーなサウンドを聴かせてくれます。
特に中高域の緻密さ、音の通りの良さはさすがの9番初期型です。

★ Marntz9オリジナル S/N 1100番台の貴重な初期型です。かなりきれいで内部もメンテが行き届いて良い状態を維持しています。
当工房では良い音の要である電源回路の電解ブロックコンデンサーを正規仕様の新品に交換しています。
この為、本機は極めてオリジナル状態を維持しながら当時の良い音を奏でています。

表に出ている電解ブロックコンデンサーです。2本ともオリジナル仕様の新品に交換しました。

心地良い響きでビルエヴァンス(JAZZ piano)を聴いています。

この時のプリアンプはmcIntosh C-8
スピーカーはTANNOY Monitor RED15 16Ωです。


実にいい感じです♪

こちらは内部の電解ブロックコンデンサーです。こちらは絶縁チューブ付のオリジナル仕様の新品です。

1台目の内部です。消耗品である電解コンデンサーはきちんと純正SPRAGUEに交換してあります。
初期型のカップリングコンデンサーやデカップリング、フィルター回路のコンデンサーは赤茶色筒型のGood-Allです。
こちらの検査では全て良品です。これは貴重です!

抵抗も初段管近辺は後期型に比べ音の良いものが使われています。

本機は初期型としてはかなり状態は良いのですが、消耗品である電解ブロックコンデンサーはこちらの検査ではそろそろだめでした。
この為、当工房で全てオリジナル仕様の新品に交換しています。

これで全て完璧な状態です。

初段管前に四角いプレートがビス止めされています。
後期型は丸いキャップが嵌め込んであります。(下の画像)

電圧増幅管はTelefunken CCa <>有 金ピン 左右で4本です。これはECC88互換の中でも極めて良い音で入手困難です。ECC83に対するECC803sに相当します。
例えば同じTelefunken ECC88と比べても音の深みや出力ゲインまでもが増して、明らかに違いがわかります。(左右での聴き比べ)  本機のCCaはほぼ新品の状態です。

2台目です。こちらも全て1台目と同じです。

こちらが後期型です。(参考画像)
シリアル番号のラベルが後面に貼ってあリます。

出力管は2台ともTelefunken EL34です。

★ Marantz9オリジナルはSN.1000番から約1000台余り製造された極めて希少性の高いモノーラルパワーアンプです。
本機はこの中でも1100番台の超初期型です。初期型は中後期型とは音が違うと言われています。
実際、私もいろいろ9番の音を聴いていますがこの初期型の音はなるほどと納得します。


★一般にパワーアンプの回路は最初に開発された1950年代から徐々に新しい回路が開発され音が良くなってきました。
Marantzでも最初は#2から始まり#5、#8、#9と続きます。その後価格面から#8Bも出されました。

私が聴いた音の感じではやはり#9オリジナルが最も良い音です。
何が違って来たかと申しますと電源回路。しかも整流方法です。

昔のアンプは整流には整流管を使っていました。この整流管は出力インピーダンスが高く、要求される電力に対して応答性が悪いのです。
(この応答性とはロードレギュレーションという言葉で表現されますが、「Marantz7の何が良いのか?」の稿で少し説明しています。)

音で言うと、きれいだが幾分元気の無い音になります。Marantzでは#2,#5ですがウエスタンなども同様です。
勿論、音だけでなく私はこれ等の超ビンテージアンプには存在そのものに魅力を感じるため価値をどこに置くかは好みになります。
(以前レストアしたALTEC 1570Bは整流管を4本も並べ、さすがに音は強烈でした。4本パラではインピーダンスも1/4になります。)

この整流方法は#8になると高圧はダイオードに変更になりました。俄然、元気な音になります。
ダイオードはインピーダンスが低く、音楽の変動に応えて瞬時に必要とされる電力を楽に通します。
(セレンはもっとインピーダンスが低いのでプリなどはやはり音の煌びやかさや臨場感が違ってきます)

しかし、残念ながら#8(B)はステレオになりました。(普通はステレオが当り前です)
大きな容量のデカップリングコンデンサーで左右の干渉を減らす努力をしていますが、電源が共通なのでやはり左右の音は影響します。

そこでモノーラルアンプなのです。それが9番です。
#8(B)と比べると左右の音がバラバラに聴こえ、その分音の輪郭と臨場感が際立って感じます。

しかもMarantzでは最初の頃(#2)から出力管はEL34に拘っています。
#9からはシドニー・スミス氏が設計されていますがマランツ氏の拘りは踏襲され、出力が足りないなら4本並べれば良い。

この細い華奢な風体から湧き出る重量感、繊細さ。

どうしてもEL34が外せなかったのですね。 音を聴くと気持ちはわかります。


★一度9番の音を聴くと元?には戻れません。それだけ強烈な音です。
全域に渡ってしっかりとしていて、特に低音はだらけず、ボン付かず、押さえるところは抑えて、力強く出してくれます。
また中高音もすっきりとしたさわやかさがとても魅力です。

本機はこの音の良いMarantz9オリジナルの中でも取り分け音の良い初期型です。

オリジナルGood-Allの音が冴えています。









トランス類にも傷や錆は殆どありません。

#9オリジナル初期型はゴールド感が強いパネルです。殆ど傷はありません。

オリジナル後期型と違ってシリアル番号の貼り付け位置が上面です。