セブン再生工房

検査レストア依頼 Marantz#9オリジナル O.D 様 概要

2020. 3. 12 掲載 検査修理完了

1時間以上鳴らした後で最後の調整として全てのバイアスを既定の印の位置まで上げると、今度は今回ヒーズが切れていない正常なアンプのV7が左のメーター様にこれ以上調整ボリュームを上げても針が上がりません。他にもV5は調整ボリュームがいっぱいの位置で漸く正規の位置です。

回路上のバイアス電圧は規定の通りで、特に深い訳では無いのでこれは出力管全体が既に寿命が来ているようです。

一応この状態でも暫くは良い音で聴けると思います。

全てのバイアス調整、DCバランス、ACバランス調整を整えて試聴です。

こちらが実際ヒューズが飛んでいたアンプです。
各部をチェックしてから新しいヒューズに交換し電源を投入します。特にヒューズが飛ぶことも無く、すぐに各部の電圧チェックとバイアス調整に入りました。
バイアス調整で気が付いたのは、それぞれの出力管のバイアス値がかなりバラバラで特にV7はメータが振り切れいています。
この様な状態ではDCバランスは取れず、ACバランスも不安定で調整できません。
時間を掛けてこれ等のバランス調整を行い何度も電源の入り切りを間隔を置いておこないました。

最終的にはV7だけが30分位掛かって漸く安定します。恐らくこのV7の出力管はかなり劣化しています。
外観からではV7,V8が特に使用感があります。

今回のヒューズ切れは特に電源トランスの問題では無く、出力管のバイアスがきちんと調整されない状態で使用され比較的大きな電流が流れて時間を掛けてヒューズが切れた状態のようです。
ヒューズの切断状態も穏やかな切れ具合です。もし過電流が流れた場合は管内部が破裂状態になります。

ついでに正常な方も検査します。マルチテスターは高圧の電圧を示しています。もう少し時間が経つと430V近辺で安定します。良好です。
こちらもバイアスは上のもう一台程では無いものの、かなりまちまちでした。

こちらがV7のレベルです。15分でまだこの状態です。これが30分以上経つと他の管と同様に既定の線まで針が上がります。
(調整中の為、逆さまです)

以前当工房でレストアしたMarantz9オリジナルです。 今回片側のアンプのヒューズが飛ぶようになったので修理を依頼されました。

なかなか良い光景です。

極めて力強く繊細な良い音を奏でています。