★まずは1台目。SN.1800番台です。
2019. 11. 18 掲載 検査完了
2019. 12. 9 レストア完了
★こちらは1台目よりもひどい状態です。
この為、安易に電源を入れるのは危険なので電源回路を直してから各部の詳しいチェックになります。
★状態を見ると、前のレストアされた方のやり方に苛立ちを覚え険しい表現になったコメントもあります。お許しください。
(2019.12.10)
★本日こちらのストックのTelefunken EL34 新品を8本交換してみました。
やはりどれもきちんとバイアス調整ができます。
音はさすがのMarantz9オリジナルです。煌びやかで張りのある中高音。
ずっしりと響く重低音は圧感です。
★エージング行っていると1時間位で片側のアンプのバイアスがかなり下がってきます。
真空管の劣化で時間が経つと出力が落ちてくるようです。
音はパンチはありますが全体に丸い音です。
恐らく真空管の特性です。
後程こちらのストックのTelefunken EL34 新品と交換してみます。
electro-harmonix EL34でも聴いてみました。
中古ですがまだ新しく、特性の揃った8本組の良品です。
こちらも中高音や低音がはっきりしていてなかなか良い音です。
今回の交換部品です。電解ブロックコンデンサーから電解液が染み出して周りが汚れます。
各出力管の出力電圧です。4本とも430〜433Vを示し良好です。
★各出力波形のチェックです。
エージング風景です。
こちらも奇麗な出力波形です。
上段は入力波形。下段は出力波形です。きれいな出力波形です。
2台目です。
高圧B2です。150.5Vを示し良好です。
高圧B3です。141.6Vを示し良好です。
交換した表面の電解ブロックコンデンサー2本です。
こちらも最初の電源投入は危ないので高圧、バイアスとも電圧の同時チェックです。
両方とも良い値です。
各出力管のバイアスです。こちらもバイアス電圧が深くなったので正規の値まで到達できない出力管があります。
できれば良い球に交換されれば良いかと思います。
こちらも電源が安定したので各電圧の調整です。上はACバランスです。丁度良い値で安定しました。
純正SPRAGUEのバイアス用電解コンデンサー新品に交換しました。
電源を入れての検査では必ず出力端子にダミー抵抗を取り付けます。
フロントパネルの周りに傷が付かないようにビニールテープを巻いて保護します。
内部の電解ブロックコンデンサーです。絶縁チューブの正規仕様新品です。
こちらも前回交換されたグリッド抵抗を純正A&Bの正規の耐圧のものに交換しました。
これで4本ともバランスよく安定した出力が得られます。
制御電源の高圧B2です。少し高いですが167.4Vを示しています。
時間が経つにつれて落ち着いて来ます。
高圧B3です。147.1Vと良い値です。
各出力管の出力電圧です。4本とも430〜433Vを示し良好です。
★2台目です。1台目と全く同じ内容です。
電源投入風景です。危ないので高圧、バイアスとも同時の計測です。
左のメーターは高圧で443Vを示し良好です。右のメーターはバイアスです。これも-44.6Vを示し良好です。
電源が良くなったので各電圧の調整です。これはACバランスで良い値で安定しています。
こちらはバイアス調整です。概ね良い値です。
しかし装着している出力管はかなり古く、正規の電源の状態になりバイアスが深くなると出力電圧が上がらない出力管もあります。
← 電源回路の電解ブロックコンデンサーの正規仕様新品です。
★レストア完了です。 2019.12.9
部品待ちのためかなり時間が掛かりました。
★まずは1台目です。
怪しげなオイルコン4個です。繋がっている回路を見るとバイアス調整回路です。
前のレストア屋さんは、なぜこんなことをするのでしょうか?
バイアスが浅くノイズが出る為でしょうか。意味の無いことです。
高圧用整流ダイオードは2個とも正常なので一応高圧は何とか出ていると思います。
大変きれいなMarantz9オリジナルです。
← 静電容量も1.5倍程膨れています。
こちらも回路上外してみないとわかりませんが怪しい感じです。
念のためデカップリング0.33uFを検査しました。
外してみないと正確にはわかりませんがリークしているようです。
先程の交換された出力抵抗を測ってみました。100Ωのところ80.1Ωしか抵抗値がありません。
これではパラレルプッシュプルとしての整合が取れません。
交換されたもう一本の抵抗は正常値100.9Ωです。
当然交換されていないV5, V6用出力抵抗も正常値です。
← バイアス整流用ダイオードです。1台目と同様に逆方向にも導通があり完全に不良です。
高圧用整流ダイオードはこちらも正常です。
初段のカソードバイパスコンです。ESRが計測の限界を超えて不良です。
バイアス用電解コンデンサーです。ESRが高く、リークしています。
こちらも高圧倍電圧用のもう片側です。こちらもLeaky表示でリークしています。
表に装着の大きい方、高圧B電圧用です。
Leaky表示で不良です。
高圧倍電圧用の片側です。何と!計測不能です。
これは危ない!破裂の一歩手前です。
← 唯一1台目と違うのは出力抵抗(ハの字の黒い小さな抵抗)が交換されています。
ここは大電流が流れるのでこんな小さな抵抗で大丈夫なのでしょうか?
恐らくバイアス不良で焼けたのかも知れません。
バイアス不良ならダイオードを交換するなり、電解コンデンサーを正規のものに速やかに交換すべきです。
結局出力抵抗が焼切れて、手元に在った間に合わせの抵抗を取り付けられています。黒く塗装して銘柄を隠しています。
益々出力トランスが心配です。
★こちらも電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。
1台目とほぼ同じ状態です。
こちらも電解ブロックコンデンサーはオリジナルのままです。
念の為各出力管のバイアスをチェックすると4か所ともカーンと勢いよくメーターが振り切れます。恐らく出力管4本とも出力電圧が高い状態です。出力トランスが心配です。
DCバランス、ACバランスも取れません。
危ないので早々に電源を切っています。
3Aのヒューズも取り替えて、意を決して電源投入です。
高圧B電圧は369Vとかなり落ちています。
右のテスターはバイアス電圧です。既定の半分しか電圧がありません。異常な位浅い状態です。
★2台目です。
電源を入れる前のトランス1次側の抵抗値を計ると正規の状態ではありません。
いろいろ探るとヒューズが切れています。
このアンプは動作していたのでしょうか?電源プラグも腐食して使用の形跡がありません。
ACバランスが崩れると煙が上がる程大電流が流れるホーロー抵抗を調べます。
17.1Ωあり、まずまずの状態です。
バイアス用電解コンデンサーです。ESRが表示限界を越して完全に不良です。電解液も垂れ落ちています。
バイアス用整流ダイオードを検査しました。ご覧のように逆方向にも導通があり、このダイオードは機能していません。
高圧倍電圧片側(本体上取付けφ25)です。
容量がかなり膨らんでいます。
高圧倍電圧のもう片側内部取付けの電解液が垂れ落ちているものです。こちらも容量がかなり膨らんで電解液が漏れ出ています。そのうち破裂します。
★前のレストア屋さんは電源の部品を持たないため右のように意味の無いコンデンサーを付加されています。
時々Marantz7でも見かけますが全く気休めです。
これを付けると周波数特性が変り多少ノイズが収まったつもりでしょうが、折角のオリジナルの価値がガタ落ちです。
恐らくベテランの方の仕事でしょう。これこそ華麗な?改造劇です。
結構容量の大きいコンデンサーです。
電解液が垂れ出している高圧倍電圧片側の電解コンデンサーです。
Marantz9オリジナルの内部です。まず目に飛び込んでん来るのは四角い赤のオイルコンです。出力管のカップリングはWEST-CAPに4本とも交換されています。中の高圧用電解ブロックコンデンサーもオリジナルのままで電解液が垂れ出しています。
バイアス用の電解コンデンサーも電解液が漏れています。
中を開ける前の外観から察すると外から見える2本の電解ブロックコンデンサーはオリジナルのままです。
大丈夫なのでしょうか?
出力管はKT77ビーム管を使用されています。
内部の電解ブロックコンデンサーも正規仕様で絶縁チューブ巻きの新品です。
グリッド抵抗を純正A&Bの新品に交換しました。
前回のレストアで耐圧の小さな物に換えられていました。
★電源を入れる前の各電解ブロックコンデンサーのチェックです。
検査レストア依頼 Marantz#9オリジナル O.D 様 概要