★ 前期型です。

真空管ソケットが内部にあります。外そうとしたら狭くてうまく外せません。無理やり真空管を傾けて外すことになります。これも失敗でした。C-8になってからは真空管はケースの外から外します。

恐らくMarantz audio consoletteはAE-2より後に開発されたものでしょう。マランツさんはこのあたりも良く見ています。

後期型の内部です。漸く足りなかったバンブルビーが入荷したので、懸案であったオールバンブルビー化が完了しました。同時にこれまでノイズが出ていた原因が、電解ブロックコンデンサーの不良と判明し、Marantz7用φ25に交換しました。また、折角なのでフォノイコのケーブルをウエスタンのシールド線に交換し、負荷抵抗ボリュームも純正CTSの新しいものに交換しました。

裏面です。カップリングコンデンサーは全て良品バンブルビーに交換しました。

★音の確認です。

ノイズも無くなり極めて明瞭な音が出ています。
臨場感と音の広がりが半端無いですね。これは良いアンプです。

当工房には良いアンプが沢山あり、どれで聴こうか迷ってしまいます。





何でも良いから臓物は隅に押し込みましょう。といった感じです。

事前にAE-2をネットで検索していたら図面に無いトランスが付いていると記載していた記事がありましたが、このことですね。しかも今手に入るAE-2の回路図は恐らく後期型のものです。この前期型は恐らく後期型とは回路が違います。レストアの時は現状から回路図を作成しながらの作業になりそうです。これも楽しみです。

裏面も殆ど良品バンブルビーに交換しました。

なぜかブラックビューティー160Pがあります。一応過去にメンテの手が入ったようです。160Pは音が曇るので無条件交換です。
AE-2はイコライザーとトーン回路が共用しているので、それだけ回路が簡略化されています。この為、うまくレストアすれば極めて明瞭な音が味わえると期待しています。そこに160PやビタQなど曇った音になるコンデンサーが入る余地は全くありません。
私が求める良い音とは音の透明性です。現代のハイエンド、トランジスターアンプでは程遠い世界です。

これが75年前のマッキン最初のプリアンプです。 75年振りに灯がともり良い音が復活しました。

電源の取り込みや出力端子は改造しましたが、いつものように殆どオリジナル状態を維持しています。

こちらのカップリングコンデンサーは全てバンブルビーなので、できるだけ良品のバンブルビーに交換しました。どうしても揃わないところは取りあえずブラックキャットに交換し、何れ良品が揃ったときバンブルビーに交換します。
交換した良品バンブルビーはいつもの様に当工房で特殊なコーティングを施しています。この為、今後長期に渡って良い状態が維持できます。
こちらも真空管は Telefunken ECC83<>有のリブプレートに交換しました。

それぞれの年代の特徴を活かし、極力オリジナル状態を維持したレストアを行いました。
電源コードはオリジナルとよく似たヴィンテージ物の新品(ベルデン)に交換しました。これで安心して電源が入れられます。

★ 改めて試聴エージング風景です。

ノイズも無く良い音で鳴っています。

恐らく当時は真空管もTelefunkenなどは無かったかもしれません。出力信号も電源ケーブルの中に通っていてノイズが乗っていたでしょう。当然マッキンのパワーアンプ50W-1に専用ケーブルで接続されるのが前提です。
この為、聴く環境は限られてきます。

今回レストアしたAE-2は、真空管は音の良いものを選択し、出力端子も独立しています。
また、当時は無かったMCカートリッジやMCトランスにも接続可能にし、イコライザーは確実にRIAA偏差に合うよう内部素子の値を変更しました。この為、通常のプリアンプとして動作できるので当時より良い音が聴けると思います。

実際、今試聴しているパワーアンプはMarantz8Bですが、この後は常時ウエスタン300B pp で聴く予定です。


★ただ今、いつもの グリーク ピアノ協奏曲イ短調を聴いています。 

これまでよりも一層透明感が増して鋭い旋律が映えています。 
豊かで解像度の高い低音、シャープな切れ味のピアノ。

静けさも格別です。   いいですねー♪♪



これでまた生涯の友、私の宝物が増えました。  ♪

★ ひとまずレストア完了です。                                           2024. 9. 12


簡単にCDで音の確認後、いよいよレコードです。 トーンはBASSを最大にしTREBLEを画像の様に絞ると、これがRIAAです。

リヤは年代が違うので配置が違います。 当工房製作のC-8用電源ユニットが接続できるように給電ソケットを改造しました。これで電圧を含めて完全にC-8と互換性がとれます。前期型後期型ともに出力は電源ケーブルに出して出力端子が付いていなかったので、RCA出力端子を新設しました。これで普通のプリアンプとして他のパワーアンプに繋ぐ事ができます。

★最初の試聴風景です。

イヤー、こんなレコードの音は初めてです! 極めて臨場感があり音が部屋中に広がってきます。
昔のモノーラル時代でもこんな音ならスピーカー1台で部屋中に音が広がったでしょう。やはり最初に回路図を見た時の予想通りです。

真空管を良いものに換えたり接点の接触不良からガサゴソ音も時折聞こえるのでもう少し整備が必要です。
しかし、この後手を加えるごとにもっと良くなるのが楽しみです。






早速ハムノイズの対策を終え試聴できる体勢になりました。丁度レストア依頼で来ているMC240のレストア後のエージング中なのでこれに繋いでの試聴です。

後期型です。こちらも各電圧は正常です。トーンの動きはまだまともなようです。各コンデンサーを全て良品に交換したので正常に動いています。しかし、こちらもハムノイズがかなり出ています。ボリュームに大きなガリがあります。分解清掃が必要です。

まずは前期型からです。各ツマミの機能を確かめながらトーンの特性を観察します。各電圧は良好です。音も出るようですがトーンは変な動きをします。 ハムノイズが盛大に出ています。






★ 全体を整備し電源を入れてみました。                                           2024. 9. 7

裏側です。貴重な Good-All のワックスタイプのコンデンサーが並んでいます。それぞれ特性を測って使えそうなものは再利用です。前の後期型のバンブルビーは恐らく全滅です。本機と音を合わせるため現代のGood-AllであるTRW製に交換します。本機もイコライザーなど数値を合わせるために交換するコンデンサーはTRWになります。

上面です。何と、基板の上に電解ブロックコンデンサーを乗せています。後期型はアルミフレームに移動しているので、これも失敗でした。他の臓物がぐちゃぐちゃに配置されます。

★これでレストアの準備ができました。

年代の違う固体は当時の開発者の苦難も垣間見れてレストアが楽しみです。
また、あるネットの記事ではイコライザーの音は癖がありトーンとの兼用は無理があるのでは、と評価されているものもあります。恐らく経年劣化で特性が変っているのでしょう。当時のグラフを見る限りうまく調整すればそこそこの音になると思います。この為小さなコンデンサーでもまずは値をきっちり合わせる必要があります。また、より良い音にするため特性を測りながらコンデンサーや抵抗の値を調整する必要も出てくるでしょう。
時間は掛かりますが楽しみながらレストアを進めて行きます。









それにしても無造作にブロックコンデンサーを並べたものです。やってみてわかったでしょう。

この形のコンデンサーはC-8でも付いていて、細かくチェックしましたが殆ど値は変っていません。優れものです。

変なソケットを内側から撮りました。やはり変です。

こちらもリヤカバーに落書きがあります。約70年前に書かれたものです。右下に変なコネクターがあります。後期型には無いので何でしょうか?

上面です。バンブルビーがびっしり並んでいます。

こちらで落札する前のヤフオクに掲載されていた画像です。 この画像、まだeBayに出て売りに出していますね。(2024.9.24現在) 売れたらどうするのでしょうか?

木製カバーを外しました。レストア中に傷を付けたくないので。これを外すのが大変でした。内側から木ねじでとめてあります。ドライバーが入りません。恐らくメーカーは次からはこんな厄介な製品は絶対作らないと思ったでしょう。それでも本機は1300番台です。1000台以上作ったのでしょう。ご苦労様です。

背面のRCA端子には錆が深く入り込んでいます。Marantz7純正の新品のRCA端子と交換します。背面の入力ゲイン調整ボリュームは表面の大きなボリュームとは違い恐らくマッキン純正のCTS製でしょう。現在の新品と交換します。

電源ケーブルはボロボロで芯線が見えて全く使い物になりません。後で新品交換になります。

★まずはフロントパネルがグリーンハンマートーンの後期型です。

こちらもウッドカバーを外しました。

こちらの大きなボリュームはマッキン初期型アンプ特有の貴重なものです。C-8にも付いていますが2連は初めて見ました。

真空管ソケットに落書きがあります。

当工房所有機 mcIntosh AE-2  概要    セブン再生工房

McIntosh AE-2 モノーラルプリアンプです。下段前期型と上段後期型の年代違いの2台になります。特に下段の前期型はマッキン最初のプリアンプで、1949年に会社設立に伴いパワーアンプ50W-1と一緒に発売開始されたものです。その後、後期型を含め2年ほど生産されています。前期型が現存する固体は極めて少なく、見かけても上段の後期型が殆どです。
1949年と言えば私が生まれる5年前から有ったわけです。感慨深いものがあります。
これからこちらでレストアする前の現状を掲載します。

内部を検査しましたが一部のコンデンサー以外は殆ど良品です。さすがのGood-Allです。しかも昔のコンデンサーはワックスで包んであるので劣化はかなり抑えられているようです。
電解ブロックコンデンサーも全て良品です。当時の使用時間は短かったのかも知れません。
真空管は全て Telefunken ECC83 <>有の値の揃ったリブプレートに交換しました。

裏面です。こちらも殆どのカップリングコンデンサーは良品です。音の悪い160Pに交換されているところはひとまずブラックキャットに再交換しました。 何れバンブルビーに交換予定です。

★後期型です。

2024. 3. 8 取得時の状態を記録
2024. 9. 7 全体を整備し電源を入れました。
2024. 9. 12 レストア完了
2024. 12. 12 後期型のオールバンブルビー化


★ 後期型のオールバンブルビー化が完了しました。                                           2024. 12. 12

★今度は前期型です。

裏面です。