McIntosh C22 レストア依頼機 Y.S 様 概要

2018. 8. 27 初掲載
2018. 9. 12 レストア完了
2018. 9. 19 再レストア途中経過
2018. 9. 20 再レストア完了

電源部の電解ブロックコンデンサーは3本とも交換しました。
前回仕様の違うものに交換されていて回路が変わっていましたが、これで正規の回路に戻りました。
McIntoshはこれまでかなり違う仕様のブロックコンサーに交換されています。その都度辻褄合わせのため回路を変更されています。

★待望の音出しです。

まず、最初の印象は音の輪郭が明瞭になったと感じました。

暫く聴き込んで行くと尖ったところが少し円やかになり、しかし決してぼやけてはいません。

室内楽では、バンブルビーの荒々しさを取り除いて明瞭さだけが残ったきれいな音です。

交響曲では、これまでマッキンの低音はMarantz7に比べて少し甘い感じがしたのですが、
どうしてどうして、なかなかのものです。
各楽器のパートも明瞭に聴きわけられます。歯切れの良い打楽器が響き渡ります。

これはなかなか良いアンプになったと思います。

電源回路の抵抗をアムトランスのAMRGに交換しました。

最終的な電源回路です。


高圧B1の電圧もまずまずです。

何度か違うタイプを選んでいたのですが、試しにアムトランスのものを取り寄せてみました。

右の画像の水色のキャラメル形4個です。

形は悪いのですがGoldenBlack同様音の抜けが良くしかもしっかりとした音を出してくれます。

★早速音出しです。

何と、極めて明瞭な輪郭のはっきりした音になりました。
以前の160Pのぼやっとした音とは大違いです。

驚ろおどろしく鳴り響く重低音。 凛として、ときめくような中高音。 
まるでMarantz7の良質のバンブルビーの音を聴いているようです。

今回は音に最も重要な個所にはアリゾナキャパシタ、そして今回のアムトランスです。
絶妙なバランスでバンブルビーに極めて近い音を出してくれています。


音としてはこれで充分満足のいく音ですが、他に電源の抵抗も交換予定です。
まだ部品の入荷待ちです。

これを換えると,、もっとダイナミックな歯切れの良い音が期待できます。

★ 再レストア完了です。                                                        2018. 9. 20


★本機を2,3日エージングを繰り返していました。                                                           2018. 9. 19

すると次第に音も曇りがちになり、本日いよいよ左の音が特に中高域が貧弱に聴こえます。
以前から160Pは気になっていたのですが、いよいよ裏の小さな0.01uF 4個を交換しようと思いました。

ヒーター電圧も18.62Vまで上がりました。正規電圧18.9Vに接近です。

高圧B1の電圧です。何とか310Vに近付けて307.0Vまで上がりました。
この後のB2,B3もB1に比例して上がり、問題の無い状態です。

裏面のカップリングは前回のレストアで4本とも160Pに交換されています。全て良品なのでそのままです。

内部上面です。残っていたバンブルビーを全て代品に交換しました。
今回はメインのカップリングをAZ-CAPにしています。これは極めて高価ですが良い音を出します。
フォノイコのカソードバイパスコンもMarantz純正のSPRAGUEに交換しました。
これでレコードもとても良い音です。

今回の交換部品です。
ブロックコンデンサーはマロリー以外は銘柄無しとドイツ製です。
以前レストアされた方は探し当てるのにかなり苦労されたようです。

★ただ今エージングを始めて3時間が経過しています。

実に伸び伸びと良い音を出します。
以前は1時間位で音が荒れて来たのですが、レストア後は最初の30分位からしっとり感が増してそれがずっと続いています。

やはり電源がしっかりしているので音に安定感があります。低音も力強く前に出てきます。

特にレコードが快く感じます。あれ?マッキンはこんな音だったかな?と思わせるくらい良い音です。
拘りのカソードバイパスコンが効いているのかも知れません。
ここは電源と同じ電解コンデンサーです。銘柄にかかわらず新しいに越したことはありません。

今回は音質に影響のある所はAZ-CAPで決めています。これがかなり良い音を出してくれています。
他は音に余り影響は無いので、以前レストアされた時交換された160Pを温存しました。

フォノイコのカソードバイパスコンは左右とも値がかなり膨れています。 ESRもかなり高めです。
音の特に情感を再現するために重要な真空管初段のバイアスが安定しないので音が荒れてきます。

このフォノイコのBumbleBeeは漏れ電圧では良否の判断はできません。良品でも回り込んで比較的高い電圧を示します。取り外して検査が必要です。
恐らく不良でしょう。レコードもかなり荒れた音がします。

フォノイコの最終段カソードフォロア後のカップリングにC22はどれも高耐圧の160Pを使っています。
私はここは音に余り影響が無いので良品であれば何でも良いと思っています。この為160Pでも構いません。恐らく当時のMcIntoshもそう思ってC22の初期型でも高価なBumbleBeeを使わずに160Pで済ませたのだと推測します。

高圧2段目は3ブロックとも少し膨らみはありますがまあまあです。ESRも少し高い値です。

裏面です。電源回路では恐らく1本代品のブロックコンデンサーに換えてあります。
横一列の小さなカップリングコンデンサー4本も160Pに換えてあります。
その他は純正のままです。

★各カップリングコンデンサーはバンブルビー以外の160Pは良品です。特にラインのBumbleBee 0.22uF/400Vはどちらも1.6V位のかなりの漏れ電圧があります。
これが音をぼやけさせ歪ませています。
本来この部分が音に最も影響のあるところです。オールバンブルビーの場合ここがダメになるともっと歪を感じる筈ですが、本機は周りを160Pで固めてレストアされているので音を丸めてしまい、歪も感じにくくしています。

私としては全ての160Pを外してしまいたいのですが全て良品である事と、この160Pに交換することが外観的にもBumbleBeeと同形状なため良い音がすると一般的に思い込まれているので難しい所です。

★以上の結果、電源回路は高圧低圧ともセレンは大丈夫なようですがブロックコンデンサーは2本交換された方が良いかも知れません。
できれば3本とも新品交換をお勧めしています。
今回も高圧2段目は何とか良品のようですが、以前もおなじように良品と判断しても音にかなり影響しているものがありました。
特にこの高圧2段目は音に大変重要です。

ヒーター電圧です。17.7Vを示しまあまあの状態です。
通常値は18.9Vですが何とか真空管をドライブできます。

高圧B1の電圧低下に伴ってB2も低下しています。
正常値は290Vです。

高圧B3はまあまあの値です。

高圧B1はご覧のように287Vしか出ていません。正常値は310Vです。やはりブロックコンデンサーの不良により電圧降下を起こしています。

まず、高圧セレン直後の電圧です。341V出ているので高圧セレンは大丈夫です。

★電源回路各部の電圧検査です。

高圧1段目のブロックコンデンサーは3ブロック中2ブロックでご覧のようにリークしています。

★まずは電解ブロックコンデンサーの検査です。


前回のレストア屋さんの常套手段として交換用コンデンサーはやはり160Pでレストアされています。
この時は音に最も重要な部分はバンブルビーを残されました。当時はまだ我慢できる状態だったのかも知れません。
この判断は正しかったと思います。
最初の音だしではやはりバンブルビーの煌びやかな音が出ていました。一瞬Marantz7の音かと思いました。
しかし時間が経つにつれてこの煌びやかな音が霞んできます。歪も出始めています。
電源回路も良くないのかも知れません。オーケストラの盛り上がりのフレーズではガーガーと聴こえます。
これは大きな信号の変化に電源がついて行けない状態です。

本機はMcIntosh C22の初期型ですがとてもきれいな良い状態です。
恐らく数年前に川崎のレストア屋さんあたりで修理されたと思います。さすがにきれいな仕事です。
最初の音だしでは各部の操作も含めて特に問題は無さそうです。
しかし1時間ほど聴き込んで行くと徐々に音に粗さが増し、何となく音に汚さが混ざって来ます。
こんなものだと思えばそうかも知れません。
しかし、このオーナー様はたくさんの高級ハイエンドのアンプを聴き込まれている中での検査依頼です。
やはり何かを感じて居られるのでしょう。

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今回高圧低圧ともセレンは交換していません。
抵抗はかなり値が膨らんでいるものがあったので正規の値のものに交換しました。


★漸くレストア完了です。                                                                     2018. 9. 12

低圧ヒーターセレン直後の電圧です。正常値です。

★カップリングコンデンサー類の検査

低圧1段目です。2ブロック中1ブロックがご覧のようにLeaky表示でリークしています。