上の左画像はグリッドに掛かる電圧をミリバルで計測しています。黒針が左チャンネルで赤針は右チャンネルです。
この時のボリュームの角度が右画像で10時半の角度の位置での値です。
このボリュームを連続して回してゆくときれいに角度に比例して誤差が増してゆきます。

この為、このメインボリュームの不良と判断します。

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ボリュームの検査風景です。
低周波発振器から1kHzの正弦波を10dBで左右のAUXに出力し、真空管のグリッドの電圧を計ります。


★ 再レストアです。                                                       2018. 5. 17

前回フルレストア完了でオーナー様にお返ししました。
しかし暫く聴いておられたのですが、スピーカから変な音や動きがあるとのことで再レストアになりました。
それに以前からですが左の音が小さく、今回のレストア後も治っていないとのことで改めて原因を探りました。


まず異音では、こちらのパワーアンプMarantz8Bオリジナルでは特に問題は無いのですが、オーナー様のMcIntosh MC40では出るようです。
恐らくどれかのバンブルビーが暫くして劣化したのではないかと思います。
当然本物のバンブルビーには新品はありません。中古の中から良品を探して使用します。
中古のため一見良さそうでも暫く通電していると突然異常になる物もあります。
最近では代品でよく使われるブラックビューティー(160P)でも完全良品は少なくなっています。
現在検査中ですが、こちらではC22に使用するバンブルビーは元々あまり持っていないのと世間でも殆ど良品は無い為代品を探している所です。


左右の音量の違いはボリュームの不良でした。
左右の抵抗値が違い回す角度によりその差が大きくなります。

裏側です。真空管の裏の横一列の小さなカップリング4本と0.022uF/200V 2本もバンブルビーに交換しました。
この0.022はなかなか良品はありません。

C22のオールバンブルビー化の場合Marantz7よりたくさんのカップリングコンデンサーを使います。

★試聴では勿論バンブルビーの音です。

極めて煌びやかで透明感が溢れ、ダイナミックなサウンドを聴かせてくれます。
やはり以前レストアしたC22の様に音が前に出てきます。

電圧も約30分経過の高圧B1で297.4Vです。既定の310Vを少し下回っていますが概ね良好です。
電源投入時から10分位は340V位です。

今回の交換部品です。

ブロックコンデンサー3本と高圧セレン2個。
追加されていたチューブラコンは2個撤去しました。

カップリングコンデンサーは全てのBlack CATと160Pをバンブルビーに交換しました。

出力調整ボリュームの下に隠れているカップリングコンデンサーも正規のバンブルビーに交換しました。

電源もブロックコンデンサーは3本とも正規品に交換です。

★ レストア完了しました。                                                       2018. 4. 10

今回のレストアではオーナー様のご意向で完全に元に戻すことになりました。
下記画像の様にオールバンブルビー化を行っています。


★ 早速検査を行いました。

★McIntosh C22のレストアです。
最近手に入れられたそうですが、左の音が小さく音もマッキンらしくない音に不満を抱いておられるようです。

早速音だしです。
やはり左の出力が小さく、音も雑でぼんやりとした音です。
中を見ると、このSNでは元はバンブルビーだったはずですが、一度160Pにフルレストアされた後Black-Catで再レストアされています。

160Pではこの音だろうと納得しました。これをBlack-CATが多少なりともカバーしている感じです。
特にレコードがダメで暫く聴いていても不甲斐ない音にいらいらしてきます。

30分位聴いているとどんどん雑さが顕著になります。恐らく電源が不安定になってくるのかもしれません。
音漏れは無いようです。

2時間位CDを聴いています。まあ何とか耳が慣れてきたのかこんなもんだろうと思ってしまいます。特に悪くはないが良くもない。。
普通に聞くにはこんな感じでしょう。オーナー様は買った先に不信感を抱かれているようですが長時間電源を入れた状態で試聴すれば特に粗は目立たなくなります。

よくビンテージアンプは2時間位経たないと良い音にはならないと言われる方がいます。当たっているようでそうでもない。
電源がしっかりしていれば電源投入後5分位で電解コンデンサーがフル充電され電圧も安定しリプルもありません。
長時間経たなければならないのはブロックコンデンサーのESRが高く充電しにくい状態なのでしょう。時間が経って温まってきて漸く機能が回復してリプルも無くなり良い音が戻ってくる感じです。

★次にヒータ電圧です。
セレン後は26.9Vと良い値です。
このセレンは大丈夫です。
しかしこの低圧回路にもチューブラコンが追加されているのでブロックコンデンサーはダメなようです。

McIntosh C22 レストア依頼機 S.A 様 概要

★チューブラコンが追加されているので高圧B電源は落ちているだろうと思いました。
取り敢えず一番電圧の高いB1の電圧は254Vでかなり落ちています。ここは310V必要です。
これだけコンデンサーを追加してこの電圧です。
セレン後を計ると278Vです。セレンがダメなようです。ここは330V位必要です。

2018. 3. 22 新規掲載
2018. 4. 10 レストア完了


裏側の電源回路です。
ブロックコンデンサー3本と高圧セレンを2個交換しました。どれも代品ですが正規仕様のものです。
このため余計なコンデンサーも追加せず極めてオリジナル状態を保っています。
黒に青文字のチューブラコンは正規の状態ですが前回レストアされた時に代品に交換されています。今回はこれを流用しています。
低圧セレンもそのままです。

本機はC22としては初期型で、まだC11の名残があります。
その一つがこの低圧セレンです。
後期型C22ではこの低圧セレンはダイオードでブリッジ回路に変更されています。

★内部の表面です。殆どのカップリングコンデンサーはBlack-CATです。後の検査ではライン部最初の0.22uFが不良でした。

★最初の音出しで雑に感じたのはやはり高圧B電圧の低下が主な要因です。
カップリングは一部不良でしたが歪が発生するほどでもなく、音がぼんやりしているのはやはり160Pです。
片側の出力の低下は真空管のバイアス低下やプレート抵抗の劣化の可能性があります。

このあと電源回路の追加されたチューブラコンを外して各ブロックコンデンサーを詳しく調べてゆきます。


レストアで電源回路の各電圧が正規の状態になってから各真空管のバイアスとプレート電圧を測定してゆきます。

★裏面です。交換された160Pは全て良品です。
電源にチューブラコンを追加されています。低圧ヒータ用整流器はセレンです。まだこの機種はセレンが標準のようです。
以前レストアしたC22はSNが
これより後の機種で低圧はダイオードでした。