McIntosh C22 レストア依頼機 A.S 様 概要

2018. 8. 2 初掲載
2018. 8.14 レストア完了

高圧2段目もLeaky表示で不良で、しかもESRも極めて高い値です。

交換部品です。
今回も多くのBumbleBeeが交換になりました。

ヒーター電圧です。正規の値より少し落ちていますが充分な値です。

★今回のレストアでは、まずは電源回路を直して漸く左右とも音が出るようになりました。
この時の音は全てバンブルビーにも拘らずぼんやりとした音で、全体にひずみもかなりありました。
ライン部は低音がだらしなく膨らんでいます。
フォノイコ部は中高域がきつく、特にひずみが感じられました。

この後、各部の不良のコンデンサーを交換しとても良い音になったと思います。
ライン部は音に重要な部分をGoldenBlackに交換し小さなカップリングもGoodAll-TRWに交換しています。
フォノイコ部では初段のカップリングに160Pを使い2段目の小さなカップリングをGoodAll-TRWに交換しました。
これにより中高域のきつさが緩和し、バランスのよい音になっています。
RIAA偏差に関しては特にコンデンサーの静電容量が大きく変わってはいなかったので、カップリングの劣化が大きいようです。

全体的な音として、やはりMcIntoshの前に出る音が蘇っていると思います。
しかもMarantz7のように臨場感もかなり感じられます。
なかなか良い音になったと思います。

この後しばらくエージングを繰り返し、音を熟成させて行きます。

ブロックコンデンサー交換後の高圧B1の電圧です。
電源投入後15分経過です。正規の電圧290Vを越しています。

ヒーターセレン直後の電圧です。26Vを指し充分な電圧です。

レストア後の電源回路です。
低圧セレンの色は違いますが、特に余計な物を付け足したりせず完全なオリジナル状態となっています。

これで当分は安定した電源を供給できると思います。

電源回路のブロックコンデンサーは3本とも正規仕様の新品に交換しました。
これにより高圧B電圧は全て正規の値に近い電圧になりました。

また、最初の音出しで左の出力が出なかったのですが、電源を直すと普通に出るようになりました。
やはり電源電圧がかなり落ちていたので左チャンネルの真空管が動作できなかったようです。


ブーンという音も全く無くなりました。やはりブロックコンデンサーの不良で電源電圧に脈流が乗っていたようです。
ブロックコンデンサーを交換したことによりきれいな直流電圧になっています。

裏面です。電源はブロックコンデンサー3本を交換しました。これにより全ての電圧は正規の値に近くなっています。
ヒーターセレンも交換しました。最初はブロックコンデンサーの交換だけで何とか正規の電圧が得られましたが、時間の経過と共に次第に低下して行きます。この為やはりセレンの交換になりました。
横一列の小さなカップリング4本は全てGoodAll-TRWに交換しました。
検査ではライン部のみ劣化して不良と判断しましたが、この劣化していたコンデンサーはニチコンのオイルコンデンサーなので中高域がぼやっとした音です。このためフォノイコも今回同時に交換しました。これでかなり音も良くなっています。


フィルター回路以外のカップリングのバンブルビーは全て代品に交換しました。
特にライン部の重要な部分はGooldenBlackを採用しています。これによりBumbleBeeに近いクリヤーな音が再現できます。
カソードフォロア最終段0.47uFは、ここも今回いろいろ試しましたが中低域の厚みを出すためGooAll-TRWを採用しました。
全てGoldenBlackにすると透明度は増しますが薄い音になるのでこれまでいろいろ試行錯誤を繰り返しています。このあたりはMarantz7と同じです。
電源を直した後の音だしでは、フォノイコの音が高域が少しきつい感じなので抑える意味で初段は160Pを採用しました。
これでバランスのよい音になっています。
また、フォノイコ初段のカソードバイパスコンは容量が少し膨らんではいるもののESRも良く、概ね良品と判断しオリジナル品はそのままです。
フォノイコ最終段カソード電圧が左右違っていたのも、電源電圧が正常になったため概ね良好な値です。

裏面では、横一列4本の小さなカップリングは以前のレストアで代品に交換されているようです。
しかし、フォノイコ2本は大丈夫ですがライン部の2本はリークして不良です。

mcIntosh C22の初期型です。
外観はとてもきれいです。

早速音だしをしました。
まず、左側の音が出ません。OUTのコネクターを少しいじくって見たのですが一向に音が出る気配はありません。測定器で順番に調べてみる必要があります。
また、真空管が暖まってくると同時にブーンというハムノイズがでます。

取り敢えず片側の音だけを聴くと、全てバンブルビーにも拘わらずこもった音で全く元気がありません。歪みも感じられます。

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リヤパネルです。フォノイコ入力は全てジャンパーピンが挿されています。
オーナー様は殆どレコードを聴かれないのかも知れません。

★本機はこれまで殆どメンテナンスすることなく使われて来たようです。このため何とか鳴っていたようですが、いよいよ限界のようです。
消耗品であるコンデンサー類は殆ど交換になります。
あまり使われなかったレコードも、鳴らしてみるといわゆる蚊の鳴くような音と言いますかゲインも小さく貧弱な音です。RIAA偏差も崩れているようなので、各部の交換後改めて測定の必要があります。

★レストア完了:                                                                2018. 8.14

覧のように殆どのバンブルビーは不良です。
フォノイコ最終の160Pは耐圧が高いので大丈夫です。しかし、このコンデンサーの1次側の電圧が片側が異常に低いのでバイアス抵抗類の不良が原因です。

★電源回路各部の電圧検査です。

ヒーター電圧です。13.24Vを示しています。通常18.9Vなのでかなり低い値です。

低圧ヒーターセレン直後の電圧です。普通は25V位出ます。

★以上の結果、電源回路は高圧セレンは大丈夫なようですがブロックコンデンサーは3本とも交換が必要です。
通常はこれらのブロックコンデンサーは代品が殆ど無いので改造例のように他ではチューブラコンをたくさん追加されると思います。
恐らくブーンというハム音はブロックコンデンサーの不良により電圧に脈流が乗っているからでしょう。

★カップリングコンデンサー類の検査

高圧B3も低下しています。正常値は258Vです。

高圧B1の電圧低下に伴ってB2も低下しています。
正常値は290Vです。

高圧B1はご覧のように273.6Vしか出ていません。正常値は310Vです。やはりブロックコンデンサーの不良により電圧降下を起こしています。

まず、高圧セレン直後の電圧です。330V出ているので高圧セレンは大丈夫です。

★電解ブロックコンデンサーの検査です。

低圧1段目です。2ブロック中1ブロックがご覧のようにLeaky表示でリークしています。

高圧1段目のブロックコンデンサーは3ブロック中2ブロックでご覧のようにリークしています。

バイパス用チューブラコンは少しESRは高いものの大丈夫なようです。

裏面です。横一列4個の小さなカップリングのみ代品に交換されています。
後は全て純正のままです。

内部です。全く修理の跡が無く手を加えてありません。