内部のカップリングコンデンサーはMarantz純正のSPRAGUE製バンブルビーの完全良品とオレンジドロップの新品に変更しました。
特に音質に大きく影響のあるプリアンプには大変貴重な完全良品のバンブルビーをたくさん使っています。

これによりテレフンケンと共にMarantz#7オリジナルに負けない位透き通った透明感と臨場感が増しとても良い音になりました。
スピーカーを切り替えてMarantz#7オリジナル + #8B と聴き比べてもどちらがMarantzでSQ38FDか分からないくらい良い音です。





中身が改造されていることに違和感を覚える方もいるでしょう。
しかし、何本かは抜けていましたのでどちらにしても改造修正は必要です。普通は安いペーパーコンデンサーに交換されるのでしょう。

従来のSQ38FDに使用されるカップリングコンデンサーはニチコンのオイルペーパコンデンサーですが音の抜けが悪く、ぼやっとした音です。
当時からSQ38FDは特徴のない平凡な音と不評でした。この原因がこのカップリングコンデンサーなのです。

本機の改造ではMarantz#7オリジナルの初期型に使用されているSPRAGUE製バンブルビーの大変貴重な完全良品をプリアンプにたくさん使い、
パワーアンプには信頼性の高い新品のオレンジドロップを使っています。(古いものを使って万一抜けたら大変危険です)
このためびっくりするくらいとても素晴らしい音になっています。
こちらのホームページではMarantz#7オリジナルを主に掲載していますが、特にカップリングコンデンサーの音への重要性を取り上げています。

LUX SQ38FDは回路やトランス類は定評があり、国産の代表的な名器 (私はこの文字表現が好きです) と言われてきました。
ボリュームもMarantz#7オリジナルの後期型に使用されている物と同じ東京コスモス製でとても良い音だと思います。(ボリュームで音は変わります)
デザインもとても都会的で当時から定評がありました。

この美しい外観や細部に渡って奇跡的に当時のままここに残っています。




真空管は松下の12AX7(T)がプリアンプについていましたが、これももやっとした音に拍車を掛けています。特に高域の元気の無さには驚きます。
当時は東芝製12AX7Aや松下12AX7(T)などSN比が良いハイファイ用として庶民?の間で出回り、松下の方がよい音だと騒いでいたものでした。今ではどちらも残念な音です。やはりヨーロッパ管がどれも良い音です。
特にTelefunkenのECC83リブプレート<>有は中高域が澄んでとてもきれいな音を出し、高級アンプの代表的な真空管です。
本機のプリ部は全てこのTelefunkenECC83のNOS良品に交換しています。








なぜ40年以上経ってもこのようにきれいな状態を維持できたのか、ですが。

初めて手に入れて、恒例の清掃作業に掛かった時その理由がわかりました。各部の雑巾がけの時雑巾が油で薄黒く汚れてきます。
恐らく油成分が空中に漂った環境に置かれていたのでしょう。多分鉄工所などの工場の事務所などでオーディオラック等に長期保管されていたと思います。
この空気中の油成分が油膜となり湿気から守っていたので錆や腐食などの発生が防げたのでしょう。
使用頻度については所有者が高齢で短時間で使用されなくなり、後継者もオーディオにあまり興味が無かったことが推測されます。

このため、こちらでは時折全体にペネトン(クレ5-56)などを吹きかけ油膜を作っています。これを繰り返せば50年後100年後もきれいな状態が維持できると思います。








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LUXMAN SQ38FD オールスプラグ改 概要

木製ケースの表と裏面です。新品に近いくらい殆どダメージがありません。
通常この位の年月が経つと特に裏面はかなり酷いボロボロの状態になります。
大変貴重な、状態の良い出力管50CA10。 NEC製ブラックプレートです。
良品はもう殆ど出回っていない位ですが、奇跡的に本機の使用時間は少なく、この50CA10はまだまだ長期に渡ってよい音を聴かせてくれます。
電源用ブロックコンデンサーも膨らみなどは全く有りません。シャーシも錆びも無くきれいです。
トランス類も新品のように全く錆びは有りません。 プリ管は全てテレフンケンリブプレート<>有です。中高域の絶妙なニュアンスをきれいに表現してくれます。Marantz#7オリジナルに似た透き通るような透明感が味わえます。
スピーカ端子にはバナナプラグアダプターを取り付けていますが、取り外し可能です。
通常はこの機種のリヤパネルは鉄製なので錆が浮いて大変汚くなっていますが、本機は奇跡のように全く錆びは無く端子も新品の様に輝いています。
木製ケースには傷や汚れは殆どありません。 天板にも錆びや傷は全くありません。
普通ではかなりツマミに腐食が出ますが、本機は全くありません。ボリューム類にはガリはありません。
45年経ったとは思えない新品のようにきれいなLUX SQ38FDです。 全体として使用時間が少なくそれだけ各部の消耗が極めて少ないと言えます。

(画像は全てLED蛍光灯の電球色の下で撮影しています。このため全体に黄色く映っています。)