ESR(等価直列抵抗)について

★ こちらではEquivalent Series Resistance(等価直列抵抗)について説明します。



JIS C 5602(電子機器用受動部品用語)では次のように定義しています。

等価直列抵抗
コンデンサのインピーダンスを等価的に抵抗分とリアクタンス分の直列回路で表したときの抵抗分。

等価直列抵抗の式

ここに、

R:等価直列抵抗(Ω)
Z
:インピーダンス(Ω)
X
:等価リアクタンス(Ω)

★ 左の表示はLeaky、即ちリークで不良を表し、右は正常な値52.74uFを表しています。
  表示の下段がESRです。どちらも値は1Ω以下でまあまあですが、セレンが不良になると一気に増加します。

結局検査の結果、この個体はブロックコンデンサーの初段φ25の3ブロック中2ブロックとヒータ用φ35の3ブロック中2ブロックが不良でした。
一見良さそうに見えても60年近い歳月では年数に比例して必ず劣化しています。

特に高圧B電源のどれかのブロックコンデンサーが不良になると音全体が粗れた音になり何となく汚く感じます。
某ショップの様にカップリングコンデンサーの絶縁不良ばかりを気にしても、電源のブロックコンデンサーが未交換では決して良い音にはなりません。

銘柄に拘らず、新品交換がベストです。

コンデンサの直列等価回路は図1のようになります。




直列等価回路     

ここで、
C
=コンデンサ(キャパシタンス成分)
L
=等価直列インダクタンス=リード線や電極などのインダクタンス成分
R
=等価直列抵抗=電極、電解液、誘電体などの抵抗の合計

理想コンデンサのESRはゼロです。
コンデンサが不良になるとESRが高くなることが多く、ESRが高いコンデンサを含む回路は、動作が不安定になったり、異常発振や誤動作などを起こしたりすることが多く、またコンデンサにリプル電流が流れるとESRで損失が発生し、異常発熱によってさらにコンデンサの劣化が早まります。

 

★ 当工房ではコンデンサー専用測定器を使用して正確なESRと静電容量の測定を行っています。

電解コンデンサのインピーダンス特性

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ESRが正常値より大幅に大きくなっても、コンデンサの容量は正常値を示すことが多く、そのため、LCRメータなどで容量を測定するときは、ESRにも気をつける必要があります。

電解コンデンサの場合は、L分よりもR分の影響が大きく、インピーダンス特性は図2のようになります。ただし、L分が影響すると、インピーダンス特性はV字形になります。