Marantz model-1,4 F.H 様 概要

セブン再生工房

2016.11.12

★レストア完成後所有者にお返ししました。                                           2017.1.6
大変気に入って頂けたようで、失礼ながらご感想を頂いたメールを下記に掲載します。


森川様、

新年あけましておめでとうございます。また、旧年中は大変お世話になりました。

この休みの間に、レストアされたマランツ model1を楽しむことが出来ました。大変良い音で感激しています。

あの状態の時でも、古い録音のものだから仕方ないと思っていましたが、今回、あまりにも音の鮮度が違うため、大変驚きました。明瞭なだけではなく、響きに煌びやかな光が灯るようで、大変美しい音です。また、安定感のある低音が、落ち着きのある音で、演奏そのものの品格までも高めてくれる素晴らしさです。今、発売された録音のような音には、本当に驚かされます。

今回、森川様にお願いをして、本当によかったと思います。
心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。

本年も、変わらず宜しくお願い致します。


F.H





再レストアの完了です。

今回も各イコライザー偏差カーブのコンデンサーの値が完全に回路図と違っています。
全ての値をチェックし大きく外れているものを交換しました。高域は、なるべく安価なセラミックコンデンサーは避け高価?なマイカコンデンサーを探しました。漸く見つけ取り寄せても値を測ると大きく外れています。何度か攻防?の末希望の容量が確保できました。
低域も最初RIAAではセラミックを使いましたが、探すとSPRAGUEのオレンジドロップが有ったのでこれに交換です。

これで全回路がチェック完了となりました。


色々なレコードで試聴を繰り返しています。
特に前回Old RCAで録音されたレコードだと思っていたものは、このmodel1では低域が800、高域はColumbia/LPのレンジがちょうど良い感じです。
つまり、このレストアされたmodel1でなければ聴けないレコードがあるということです。

モノーラルレコードや昔好んで聴いていたブルーノートJAZZのレーベルもこのmodel1でなければ聴けないかもしれません。

困ったことになりました。レストアのためお預かりしてもう1か月以上経っていますが、こちらの手元から離れてお返しするのがとても寂しく思います。こんな気持ちになったのは初めてです。。。

これは大変素晴らしいアンプです。完全良品のバンブルビーの澄み切った音色、情感溢れる音は昔のレコードを時空を超えて現代に甦らせてくれます。 model7とは違った情感が味わえます。
なかなか聴けない音です。。。





2016,12,20

★再レストア完了です。

ほぼ両方とも同じ構成です。トーン回路はコンデンサーの値が変わったためCR特性の定数が変わり中立点が変わりました。この為ツマミで中間位置では低域が弱まり、高域は強調されています。
現状のコンデンサーの値を計測し計算し直して定数の値を決めて中立点を修正しました。
RIAA偏差もコンデンサーの交換により修正しています。

今回少してこずったのは回路図がオーディオ・コンソレットのものとmodel 1の物があり、それぞれコンデンサーや回路が違っていて本機の2台ともそれぞれ両方の部分で構成されていました。この為どちらかに合わせると音が変な状態でした。交換部品も一部完全に値が違います。今回は飽くまでmodel 1として変更しました。


いつもの試聴用のCDやレコードを聴くとこれまでの#7の音と比べて特に違和感は無く、#7とは少し違ったとても良い音を出してくれています。

透明感のあるときめくような中高音、ずっしりと沈み込む重低音。まさにMarantzの音です。

このままずっと聴いていたい気持ちになります。



今回交換したバンブルビーは下記の様に多様です。全て静電容量の誤差15%以内の超良品です。
    0.33uF 200V     2個
    0.022uF 400V   5個
    0.1uF 400V      6個
    0.047uF 400V   2個
    0.015uF 400V   2個
    0.0039uF 400V 2個
    0.01uF 400V     3個





2016. 12月17日:
現在追加のレストア中です。
本機にはmodel 7でも見掛けないイコライザーカーブの細かいレンジの切り替えができる高音低音別々のイコライザー選択スイッチが付いています。
この切り替えにより60年代やそれ以前のモノーラルレコードのイコライザーカーブに合わせることができます。
最初のレストアではRIAA偏差を重点的に検査し部品交換しましたが、所有者の要望で全ての偏差の検査の依頼がありました。
昔のモノーラルレコードを良く聴くそうです。

こちらにも通常のRIAAでは低域が少し足りない古いレコードがあります。
同じ曲を少し新しい、恐らくRIAAで録音されているものと比較すると明らかに違いがわかります。どちらかと言うと古い録音の方が素敵な演奏です。
言われてみて少し調べてみました。
恐らくこの録音はOld RCAの様です。

RIAAの他にNAB, Columbia/LP, ffrr, AES, Old RCAなどが代表的なイコライザーカーブです。
しかもレコードによってはこれらに当てはまらないものもあるようです。
私が40年前によく聴いていたブルーノートJAZZもAESだったらしく、当時は知らなくて古いモノーラルレコードは録音状態が悪いのだろう程度に思っていました。
本機model1も最初両方とも通常のRIAAのレコードを聴くには低域は800に合わせなければ普通に聴けませんでした。
各レンジのコンデンサーが殆ど膨れ上がっていてレベルが落ちています。

このmodel1はこれも回路図通りではなく各レンジのコンデンサーをセレクターの接点を組み合わせて回路図通りの値にしています。不思議なアンプです。
恐らくこうしないと適切なコンデンサーが当時も無かったのでしょう。
こちらでもいろいろ探したのですがなかなか無いようです。そのためRIAAだけにしたのですが現在外国も当たっています。
私も上記のレコードをきちんとした音で聴いてみたくなっています。




2016,12,2

2016. 11月23日:
おおよそのレストアを行い、ただ今音質の調整中です。
ただ今のところ、基板上のバンブルビー及び交換されていた160Pは全て交換になりました。
殆どのコンデンサーは絶縁抵抗は無限大でしたが、静電容量が膨れ上がっておりこれが中高域を押し上げ低音を弱くしています。
最初に聴いたキンキン音は全てのコンデンサーの容量アップが原因です。歪も無くなりました。
今回交換したバンブルビーは全て容量は誤差10%以内の優れものばかりです。特にこのmodel 1は希少な0.022uFがたくさん使われています。

現在エージング中ですが#7と違った感じの透明感が漂い、やはり素晴らしいアンプです。
まだ低域が弱いのでトーン回路を見直し必要なコンデンサーを手配中です。
また、フォノイコのRIAAも重低音と超高域が弱いので細かくチェックしていかなくてはなりません。
恐らく細かいコンデンサーも全て交換になります。




★レストア完了です。

初めてのmodel 1です。回路的には特に問題は無くこれからオールバンブルビー化のレストアです。楽しみです。
パネル面にはオーディオ・コンソレットと書かれています。素敵な名前ですね。


最初の音だしでは、やはり歪が多く感じられ中高域がキンキンと強調され低域が殆ど出ていない状態です。どれかのコンデンサーが抜けています。ボリュームの角度が左右で違うため電圧降下かコンデンサーの抜けが原因でしょう。

正直なところひどい音です。いつもは絶品?の音に慣れているので耳を汚したくなく10分も聴いていられませんでした。 失礼。。。

レストア前の内部状況です。よく見ると片側は容量の違う160Pに交換されています。ロットによってチョークコイルの色が違います。
シングルなのにボリュームはダブルです。不思議な回路です。

電源回路はmodel 7とよく似ていますが高圧は2個のセレンで全波整流回路です。model 7は節約?して半波整流になっています。
電圧は両方とも正規の値が出ています。優秀です。片側はブロックコンデンサーが2個交換されていますが。

本機のトーンコントロール回路はmodel7の様にセレクターではなくボリュームの位置あわせで中立点を決めます。あまり良くない方式です。しかもラウドネス回路も設置され独立したボリュームで調整します。音に対してとてもいやな状況です。
model7はこのあたりは全て排除してストレートに出しています。今回のレストアでは、いつもトーン回路は見ませんがこの辺りを全てチェックしなければなりません。


ビンテージアンプのコンデンサーは全て容量が変わっていますので細かいところで音質に影響が出ます。




良い眺めです。これから手を加える毎に良い音に変わってゆきます。 こんなに古いアンプが素敵な音を奏でる。。わくわくします。