電源回路は余計なチューブラコンデンサーを取り外しスッキリしています。

セレンも復刻ですが2個とも新品交換です。 (2018. 1.31追加)
これにより電圧も全て正規の値になりました。

3本ともオリジナル仕様新品の電解ブロックコンデンサーに交換しました。

このブロックコンデンサーが入る高さはかなり限定されるので、一般市販の同じ容量のものでは入りません。
この為、部品を持たない他のレストアショップでは上記画像のように改造せざるを得ないのです。

McIntosh C22 レストア依頼機 S.H 様 概要

セブン再生工房

2017.11.25

今回の依頼はMcIntosh C22オリジナルです。

オーナーの方は本機が2台目で、1台目を修理に出した店では、ほぼすべてのバンブルビーが他コンデンサに交換され、音色が様変わりし非常に困惑した経験があると言われています。

私が知っているショップでもMcIntoshを多数手掛けたベテランの技術の方がいますが、やはり交換のカップリングコンデンサーはブラックビューティー(160P)を使います。当然Marantzと同じように音は全く違います。

こちらでオールバンブルビーの良品でレストアすることを知り今回依頼されました。

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内部もきれいです。コンデンサー類は純正のままのようです。

全体にとてもきれいです。大事に使用されていたことが伺えます。

2017.12.1:
★本日電源回路の検査を行いました。

まず各電圧では高圧B電源の電圧が高いところで規定の310Vが240Vとかなり下がっています。
これに伴い順番に290Vが229V、268Vが209Vと全て下がっています。
これではまともに音が出るとは言えない状態です。
恐らく最初の音出しの時、音が悪く感じたのはこの電圧低下が原因かも知れません。

低圧ヒータに関しては規定電圧18.9Vのところ18.3Vとまあまあです。

次に各ブロックコンデンサーを検査すると高圧は2本とも不良ブロックがあり、リークしています。
低圧もリークが検出されました。
これが入力の音漏れの原因と考えます。

C22純正の40uF/350V紙巻チューブラコンデンサーは良品でした。

次にセレン後の電圧を計ると280Vしか出なく、どの回路でもここは330V位無いといけない筈ですから
2個あるセレンのどちらかが不良です。
C22の電源はセレン2個の倍電圧回路ですからセレンが不良になるとコストも掛かります。
今回はまだバラしていないのでわかりませんが実際のブロックコンデンサー交換の時外して検査します。

ヒータ回路の整流はダイオードのブリッジ回路で組まれているので大丈夫です。


ちなみにC20を調べてみると整流管を使った直流回路ですね。私の好きなタイプです。
このC20の回路図を眺めていると、悪いことに欲しくなってきました。困ったものです。。。

★次回からいよいよ各部の波形を見ながら真空管のドライブ状態を検査し、抵抗とカップリングコンデンサー類の検査を行います。






2017.11.27:
本日音出しを行いました。

一応音は出ますが決して良い音とは言えない状態です。

また、本機はボリュームを絞っても音漏れがあります。明らかに電源が不良です。
中の電源回路はかなり苦労されていますが恐らく追加されたチューブラコン以外にグロックコンデンサーがすべて不良のようです。

電源に苦労の跡が見えます。
ブロックコンデンサーの代品が無かったようです。至る所にチューブラコンを追加されています。
こちらではC22のオリジナル仕様の特注品があるので見苦しい追加のコンデンサーは全て撤去になります。

表面と同じ様に0.01uFの小さなカップリングコンデンサーは160Pに換えてあります。
0.022uFがそのままですね。これの良品はなかなかありません。一応こちらにはMarantz model 1用に持っていますが。



名器 McIntosh C22 の真の音を聴ける日が楽しみです。



(私は名機と書くのにこの「名器」の文字を好んで使います。ビンテージアンプは楽器と同じだと思っています。)

(2018. 1. 31追加)
★漸く復刻セレン整流器が入荷しました。

2個とも交換し電圧は全て正規に近い値です。

 ・セレン後   331.2V
 ・高圧初段   308.3V
 ・高圧次段   286V
 ・高圧最終   259V


音も、よりダイナミックになり繊細さも加わった感じです。

やはり電源がしっかりすると音も大きく変わってきます。
最初の前に出てくる音に加えて
楽器の音像もはっきり聴きわけられ、まるで良質のMarantz7を聴いているようです。
特にピアノの高音域の伸びが尋常ではありません。凛とした輝きが感じられます。

これは良いアンプです!





ただ今エージングを続けています。
もう少しこのC22の音について書いてみます。

やはりMarantz7とは違って、何と言うか音のメリハリが非常に強く感じます。
バイオリンでも、弱い所は優しく、一旦強く表現したい所は途端に前に出てきます。これがマッキンなのです!

Marantz7の様に高域がピャーと色付けせずのびのびと出してくれます。
ボリュームのクラロスタットとCTSの違いでしょうか、素直な伸びやかさです。

低域も落ち着いた重低音です。
しかし決してボン付きもせずしっかりとした音なのです。(バンブルビーなので)
Marantz7は少し暴れ気味の沈み込むような低音です。

これはどちらも良質のバンブルビーと正常な電源での音の比較です。

こんなに良い音がするのに現代ではどうしてMarantz7ほど評価されないのでしょう。(Marantz7は異常です)
まず今ではどちらも良質なバンブルビーは無くなって、噂と気分だけで判断されているのかも知れません。

McIntoshでは完全良品バンブルビーで構成されたものは本機を除いてどこを探してもありません。
全てブラックビューティー(160P)でレストアされ本来の音を覆い隠されてしまっています。

Marantz7はクラロスタットに色付けされた音が幸いしているのかも知れません。
160Pでぼんやりした音に変えられても、ピャーと色付けされて錯覚を起こして良く聴こえるのでしょう。

裏面の横一列のカップリングコンデンサーは代品の160Pから純正良品のバンブルビーに戻しました。

これが正規のMcIntosh C22オリジナルの姿です!

高圧セレンも交換済みです。 (2018. 1. 31)

各部の最終チェックを終え音だしをしてみました。何と!極めて良い音がします。
さすがのMcIntosh C22です。オールバンブルビー良品と新品のブロックコンデンサーで蘇った音です。
Marantz7オリジナルと比べても決して遜色はありません。
かなりのレベルでよく似たバンブルビーの良い音です。

しかし2時間ほど聴き込んでいると、やはりMarantz7とは少し違う感じが伝わってきます。
どちらかが悪いというのではなく、それぞれの特徴が感じられるのです。

どちらもバンブルビーの音ですが、C22はとても元気な音で前に力強く出てくる感じです。
Marantz7はダイナミックだけれども繊細で奥行きや広がりが感じられます。

やはりマッキンはJAZZに合うと言われるのは同感です。勿論、クラシックもマッキンならではの持ち味を出してきます。
しかも必ずしもマッキンのパワーアンプだけではなくプリアンプも力強い音を出していることがわかります。

この音が、当時の人たちを魅了し評価されたのでしょう。
今ではなかなか聴けない、どちらもまだ劣化していない新品の状態です。

今回はこちらで両方ともバンブルビーの良品で、電源回路もほぼ正常な状態での聴き比べなので
ほぼ当時の音に近い状態です。


ただ、現在本機はまだセレンを交換していないので高圧B電圧が290Vと正規の状態ではないのですが、それでもこれだけ力強く前に出る音を出します。



以前C22とMarantz7の両方を持っている方がC22の方が大人しい音と言われました。
しかしこれはC22のレストア状態によるようです。

普通はカップリングコンデンサーを代品の160P等でレストアすることが殆どです。このためこれがC22の音と皆さん思っているのでしょう。
160PでレストアしたMarantz7と同じように丸くて曇った音です。しかしこれは本来のマッキンの音ではありません。
(C22後期型は全てブラックビューティー(160P)がオリジナルです。やはり音は初期型とは全く違います)

今回はっきりと本当のマッキンの音が感じられました。

この音にして、古の人々の心を虜にし、マッキンの名を世に知らしめたのです!

McIntosh C22でこういう光景はなかなか見れないでしょう。画像に写っているバンブルビーは全て良品です。
しかも電源のブロックコンデンサーも全てオリジナル仕様の新品です。

★レストア途中経過です。 (2017.12. 9)

取りあえず電源修理とオールバンブルビー化を行いました。

2017.12.2:
★本日は主にカップリングコンデンサーの検査です。

本機は何と、全てのバンブルビーは良品です。こんなこともあるものです。
特に裏側の0.022uF/400Vは2本とも完全に絶縁抵抗無限大です。

今回はオールバンブルビー化レストアのためバンブルビー以外のカップリングコンデンサーは検査していませんが、表の大きい160Pのみ片側が300MΩ位で不良です。

今回Marantz7と違って、特に入手しづらい0.22uF/400Vと0.022uF/400Vを多く確保し万全の?体制でこのC22に挑みましたが、幸いに必要なくなりました。
現在160Pに換えてある裏面の0.01uF/400V 4個は、こちらに多数良品のバンブルビーの在庫があります。

まだ細かい測定は終わっていませんが、今回の音が悪い原因は殆ど電源不良に依るもののようです。




★こちらでは今回初めてのMcIntoshなので、他のレストアしている所を参考にしようとネットを見ていると、どれも有り得ないくらいひどいレストアを平気でされていて驚きです。

特に電源回路はめちゃくちゃです。
ブロックコンデンサーが無いとこうなります。 →

これではせっかくのビンテージアンプも台無しですね。


こちらではしっかりとC22用のブロックコンデンサーを手配しています。